Denali(6,194 m)vol. 2
登山期間(2013/05/24~6/3)
Denaliウエストバットレスルートのベースキャンプ(BC)はカヒルトナ氷河の上にある。
翌朝(と言っても白夜のためほとんど暗くならなかったのだが)は、
早速キャンプ1(C1)に向けて出発。
時折聞こえる雪崩の轟音に、ぽっかり口を開けているクレバス。
最初はすごく怖かったけれど、不思議なことにすぐその存在に慣れてくる。
BCを出てしばらく進むとカヒルトナ氷河の本流に出る。
とにかく、とてつもないスケール感に圧倒された。
しかし、遠くを眺めて感動しっぱなしでもいけない。
見上げた両側には、いつ崩れるかもしれないセラック(氷塊)、
足元にはヒドゥンクレバス(雪で口が隠れたクレバス)がある山しれない。
登山1日目はC1で早々に切り上げた。
登山2日目はキャンプ2(C2)を目指す。
Denaliエリア第2の高峰・フォーレイカーやカヒルトナドームの眺めが素晴らしい!
素晴らしい景色を眺めている時だけが解放される瞬間だった。
それ以外は担いだ荷物とハーネスにつないだソリの重さに打ちのめされそうになる。
何回も「自分は水牛だ!」と言い聞かせて歩を進めた。
本当にそんな気分だった。
Denaliは北極圏の近くのための白夜とはいうが、このくらいには暗くなる。
日中は氷河の照り返しで半袖一枚になるくらい暑いのだが、日が陰ると強烈な寒さが襲ってきた。
C2の標高はおよそ3,800 m。
テントからの景色は最高だ♪
前年に雪崩事故のあったモーターサイクルヒルや、
強風吹き荒れるウインディーコーナーなどの難所を順調に越えていく。
途中、ベルクシュルンドと呼ばれる氷河の先端が見れた。
ここから氷河が流れ始めているらしい。
標高4,300 mにあるキャンプ3は、
シーズン中に山岳医が常駐することからメディカルキャンプ(MC)と呼ばれている。
ここまで3日間。高山病の症状もなく、かなり好調だった。
登山期間中に、ここで最も長く滞在する登山者が多いためいろいろな遊び心が見られる。
MCについた翌日は、高度順応のためにヘッドウォールの上り下り±600 mで調整。
ヘッドウォール上部からはMCが一つの町のように見下ろされ、
その奥には「end of the world」と名付けられている絶壁となっている。
時に、登山者はそれぞれ専用の「トイレ」を携帯する義務がある。
緑色のフタ付きバケツがそれで、オリエンテーション時にレンジャーから渡される。
さすがに中身は持って帰るわけにはいかないので、ルート上に何箇所か捨てれる場所が指定されている。
その場はというと、巨大なクレバス。
公式にこの中に投げ捨てて良いという決まりになっている。
年間約1,000人が訪れる山をきれいに保つためのルールだそうだ。